◇ 篠栗図書館「何かお手伝いしましょうか」

 当事者が「目の不自由な人をどう支えるか」を説明した本である。耳の不自由な人の苦労話を聞いたことがある。職場で日程なんかを背後から口頭で報告されると気づかないままなったり、ちょっとしたジョークにみんなが笑っているのに一人取り残されたり、障害を持った人でないと分からない苦労に、本当に大変だと思った。その点目の不自由な人の苦労はわかりやすいと思っていた。だが健常者には分からない微妙な苦労があることがこの本を読むと分かる。なにより、どのように助けたり支えたりすれば良いかが、手取り足取り教えてもらえる本である。読んだあとは町で自信を持って目の不自由な人に声をかけ有意義な手助けをすることができる。多くの人が読んで目の不自由は人が不安なく歩ける篠栗町になったら素晴らしい.

 


◇ 篠栗図書館「歴史の街並」

 集団的自衛権行使容認に反対する立場の「研究者・経済人・政治家、ジャーナリスト」による論文で構成されている。集団的自衛権を推進する立場の「日本人のための集団的自衛権入門」(石波茂)も読んでみた。
 いずれも戦争を防ぐために、一方は反対するといい一方は推進するというところが興味深いところである。前者は、少々理屈っぽく悲観的だが、冷静精緻である。後者は、多少おおざっぱだが情熱的で楽天的である。どちらが正しいかをいうのは難しい。ぜひそれぞれ読んで判断してほしい。
 私が感じたのは、反対する側は行使容認イコール日本を戦争する国にするねらいと言い過ぎることだ。だから推進する側に「日米安保反対闘争に始まっていつも戦争になるというが、日本は戦争はしなかったではないか」といわれてしまう。
 推進派にも弱さがある。石波氏の本をおおざっぱと評したが、抑止力を高めて戦争を防ぐといいながら、万一戦争になる可能性にまったく触れない。軍需産業の影がちらつくのも不気味だ。


◇ 篠栗図書館「歴史の街並」

 うっとりするようなとぎすまされた美しさをもつ景色がページをめくるごとにあらわれる。だからついつい日本は素晴らしい建築物と街並をつくってきたのだと誇らしい気持ちになるのだが、多分それは違うのだろう。素敵な一角だけを切り取って写すのが写真だからである。それに歴史の風雪を耐えて残った建物というのは、富豪たちが金に飽かせずたてたものだし維持管理にも膨大な人手と資金がつぎ込まれているわけだ。
 と分かりつつも日本の遺産であるこれらの街並みに接するのは幸福である。ほかでは味わえぬ悦楽がある。
 粕屋地区では、古賀市の唐津街道が登場している。篠栗周辺の歴史の街並み写真集もけっこう見応えがあるのかもしれない。地元写真家の奮起を祈る。


◇ 篠栗図書館「日本は戦争をするのか」

 執筆者はジャーナリストである。安倍首相の集団的自衛権容認の動きに批判的だ。しかし、声高に一方的に批判をしない。自らが取材した事実をもとに疑問点を冷静に示し続ける内容の本である。
 たとえば軍隊の持つ危険を指摘するが自衛隊に対しては、時に尊敬の念を示しつつ、日本の安全保障について論じる本でもある。日本に住む人たちの命と財産と、人としての尊厳を守るために、今何をなすべきなのか、を真剣に考えていく。集団的自衛権を持つことによって抑止力が高まって安全になる、というのはあまりに希望的観測だということが良く理解できる。

 


◇ 篠栗図書館「仕事でいちばん大切な人を好きになる力」

 今年三十八歳の著者の経歴は華麗である。幼少期をイギリスで過ごす。チェスの小学生大会で上位に入ったりりピアノの腕前はプロはだし、帰国子女のハンディ等どこ吹く風東大法学部で学び四年で司法試験合格、とまあ足跡をたどるだけで紙面が尽きるのでここらでやめる。
 書名から分かるようにハウツー本である。著者の経歴が目もくらむような高みにある場合、長所にもなる一方で弱点にもなる。人間関係の作り方を説いても、つきあう相手が読者とはまったくレベルが違ったりするからである。というわけで、ある総合誌の連載で著者のすごみにただただ感服していたのだが、単行本で読み始めると迫力がなかった。買いかぶりだったか。もちろん読み進めていくうちに快く裏切られる。
 ミスをして相手に迷惑や損失をもたらしたとき人は一生懸命謝罪する。岩瀬氏は謝罪と同じくらい真剣に「お礼」を伝えねばならないという。続けてお礼の伝え方を伝授する。「このたびは身に余るお引き立てをいただき、まことにありがとうございました。心から感謝申し上げます」ではだめなんだそうだ。「なに」に感動し、それは「なぜ」で「どんなふうに」思ったのかを具体的に伝えるて、初めて感謝の気持ちが相手に伝わる。「ベンチャーの成否は人で決まる」つまりミニコミは人で決まる。勉強した。


◇ 篠栗図書館「そうか!「会議」はこうすればよかったんだ」

 鋭い勘所
 著者は衆議院議員の秘書にとどまらず、他にも華麗ともいえるな仕事と役職に携わっており、だからこの本にはそれだけですごい神通力を備えている。ところが読み始めると、内容はあまりパッとしない。パッとしないどころか、政治家特有の言質を取られないモノの言い方を肯定的に紹介したり読み始めは意外感がただよう。
 著者をバカにし出していると本の3分の1辺りの所で一気に打ちのめされる。有力な支持者から就職の斡旋や裏口入学を頼まれたときの対応策を説く場面である。不正をしたことがばれれば政治家として命取りになる。今は違法行為を隠し通せるほど甘くない、だがむげに断れない。どうするか。著者が示す対応策は意表をつく。しかしこれしかないと思わせるベストアンサーであった。
 他にも根回しと気づかせない根回しのキーワード、人間関係がまずくなったときの決めぜりふなどなど、そのまま使えば強力な道具になる教えが出てくる。全体に密度は濃くないが、いくつかの強烈なヒントを得ることができるだけでも読む価値ありの一冊。
 

◇ 篠栗図書館「そうか!「会議」はこうすればよかったんだ」

 会議では話し合わない
 ハウツー本のできばえとしては満点に近いと思われた。章ごとにまとめのページがあって、ここを読むだけでも会議のノウハウと奥義と本質を身につけることができそうである。読みやすい、わかりやすい文章であり、かつゴシック文字なども活用して、著者のいいたいことがびしびしと頭に入ってくる。
 但し会議といっても、全ての種類に適用できるわけではない。極端な話、町議会などの厳密な議事規則があるような高度な水準のものには、全く参考にならない。だがまちづくり、観光の町づくりとかいったテーマの会議にはまさに打ってつけの参考書となる。こういったテーマの会議で、多数決で決定することは絶対にしてはいけないという説明がある。目から鱗だ。会議では話し合ってはいけないという項もある。意表をつくがゆえに、読んでみるとなるほどと膝を打つことになる。お勧め。
 

◇ 篠栗図書館「国際メディア情報戦」

講談社現代新書
講談社現代新書
 情報こそ力
 有料放送のワウワウで「ポリティカル・アニマルズ」という題名のテレビドラマが放映された。題名のとおり政治の世界を描いた6話完結のドラマである。シガニー・ウィーバーが大統領をめざす女性政治家を演じていた。とんでもなく素晴らしい作品だった。日本テレビ界はどうあがいても太刀打ちできそうにない。
 何故太刀打ちできないかが、この本を読んで思い知らされた。全部で6つの章の内、第2章に〈地上でもっとも熾烈な情報戦〉としてアメリカ大統領選挙が取り上げられている。そこでは日本の政治家は子ども扱いされそうな高度な弁論術とかプレゼンテーション術を獲得する為の修練が紹介されている。つまり描かれている政治の世界の水準が日米では、良くも悪くも月とすっぽんの差なのである。
 国際的な情報戦の威力と怖さが満載されている著作である。集団的自衛権の是非を政治家が論じている。何をするか分からないと思われている北朝鮮という国があり、軍拡を続ける中国という国もあって議論の必要性はあるのかもしれない。しかし国際メディア情報戦というとてつもない威力を知ると、「ペンは剣より強し」という惹句を思い起こされる。
 武力でしか国を守れないと信じる人は集団的自衛権にどうしても頼るのであろう。しかし日本がめざすべき道は、憲法がいう〈平和を愛する諸国民の公正と信義〉を信じる人は、この本を読めば第九条の正しさを確信できると思われる。
 

篠栗図書館12「フード左翼とフード右翼」 朝日新書

 食と政治の関係は
 著者の速水健朗氏には同じく食をあつかった「ラーメンと愛国」という著書がある。斬新な切り口で食がテーマなのに骨太といった感じの内容であった。今回はさらに政治を絡めるという異色の構成となっている。少々取っつきにくい。だから誰にでも勧めようという気にならない本である。
 だが、ところどころ唸るような卓見とか、奇抜な分析などがあって、読んでみても、「ま、いっか」ということで、紹介することにした。
 私自身は二つのことが勉強になった。〈左翼を一言でいえば、人間の英知によって世の中を変えることできると信じる考え〉というくだりである。左翼というものの強さと欠点を見事に衝いている、と私は脱帽した。
 二つ目は、健康食とか、玄米食とかがブームになっているかのようにマスメディアは伝えるが、実態は、そんな指向のひとは一%程度だと、著者は数多くの現場を取材して断言する。そのとおりだろうなと何となく思う。
 で、食と政治の関係でいえば、左翼っぽい人は健康食指向となるらしい。これも何となくそう思う。というわけで各自の関心の範囲で得ることは少なくない本ではないかと判断した次第。
 

篠栗図書館12「成長から成熟へ」 集英社新書

 老人にこれ以上成長しろとは
 日本はある時期まで成長することによってほぼすべての問題を解決してきた。富める者も貧しき者も老いも若きも男も女も賢者も愚者も、その恩恵にあずかってきたと言っていいだろう。だが一九七五年のオイルショック辺りから変調をきたし続けてきた。
 で、「成長が万能ではないのでは」、と誰もが薄々気づきだしているのだろうが、惰性というか事の成り行き上というか「成長こそ決め手」とばかりにいまだまなじりを決しているのが我々日本人である。
 今回取り上げる本は題名のとおり、「成長はもう古くなった、これからは成熟社会なんだよね」をわかりやすく話し言葉に近い感じで淡々と教えてくれる天野祐吉さんの著作である。
 この本が語ろうとすることを象徴的にあらわしている一節がある。
〈それにしても、「成長が善である」とはなんたる言い草か。私の子どもたちが成長するなら至極結構であろうが、この私が今突然、成長しはじめようものなら、それはもう悲劇である〉。
 六十五歳の私はこの言葉がいたいほどよく分かり天啓のごとくの教えなのだが若い人はどうだろう。ま、とりあえず読んでみてはどうでしょうか。
 

篠栗図書館11「日銀はいつからスーパーマンになったのか」 講談社

ヒーロー願望の怖さ 
 経営学の泰斗ドラッカーは、金融政策や財政出動で経済を動かすことはできないと看破したそうだ。つまり安倍経済政策を全面否定していることになる。だが、新聞報道を読む限り一年を越えても我ら国民のためにがんばってくれている。
 今回紹介する本は、別の角度から安倍経済政策に疑問を呈する。一人あるいは数人の英雄が現れても危機を脱することはできないからだという。龍馬の時代ならいざ知らず、この複雑怪奇な現代にあって名刀の切れ味のごとく難問が解決するはずがないというのである。グローバリズム、金融工学等は腐臭に満ちて人間の常識を越えている。それらが主人公となって世界経済を蹂躙しているのが現実だ。
 それに経済の動きというのは、ケインズがいうように美人投票なのである。みんなが美人だと評価する美人を推測しながら投票する。為政者がこうしたいからといって政策を打ち出しても、人々の動きは縦横に屈折する。
 この本は数学のセンスがないと後一つ理解不能なのだが、つまり私は十分に理解出来なかったが、いっていることは基本的に腑に落ちることばかりだ。読んで損はない。
 

篠栗図書館10「ポエム万歳」 新潮社

ポエムに万歳 
 著者は、ポエムというキーワードで社会現象に切り込んで注目を浴びているコラムニストである。まあるい感じの風貌に似合わず斬新な視点で思考停止せずあまのじゃく的に事件やできごとの背後に横たわる本質や真相に迫る。にもかかわらず文章は軟らかくわかりやすくユーモアをたたえる。
 全部で十五編、それぞれに教えられたり気づかされたり、今後の人生行路に大いに参考になったりの文章が並ぶ。インターネットによる選挙の是非を論考する〈デマを流すには一行で済む〉では、インターネットを選挙に導入するにあたって見逃してはならない問題を鋭く言い当てており、関係者は必読であろう。
 ミニコミ制作lに携わっている身としては、〈メディアノレッカ〉がおもしろくかつなるほどと思わせ、今後編集する際のヒントを多くもらった。
 〈お笑いにつかれてきた〉はこれまでのお笑い番組と現在のそれとを比較しながら、そのあげく結論は意表をつくもので読んで絶対に損はしない情報にあふれている。
 〈電子メールは後二年で終わる〉は、題名そのものがズバリ予言している。当たりはずれはもちろん興味あるが、あたらなくとも全く文句はないと脱帽するような考察がつづく。
 団塊世代の乱暴狼藉を告発する〈高齢者の犯罪〉は、ぐさりと突き刺さるとまではいかないが反省させられた。他の章ほど強力に勧めない。しかし団塊世代以外の読者には溜飲が下がることだろう。
 総じて二日もあれば読み終えることが出来る。いかがですか。
 

篠栗図書館9「君に友だちはいらない」

君に友だちはいらない 
 著者は東京大学法学部を卒業し、東京大学で助手を務め、マッキンゼー&カンパニーに転進、さらに独立し経営者となる。現在ではかけもちで京都大学で教育研究に携わる。極めつけのエリートが書く「仲間づくり(組織作り)」の本である。だから普通の人にはあんまり参考にならないだろうとあきらめつつも、「七人の侍」が出てくることもあって読み始めた。結論から言えば十分に参考になる。なぜか、人間なら何もかも完璧な人というのはいない。著者はぎらぎらのエリートだがそれでも欠点は持っている。この人の場合、社交的でないというのが弱点である。酒を飲めず、カラオケはうたわず、パーティが嫌いらしい。その弱点を克服する努力や工夫をしているから我々凡人にも参考になる。
 仲間づくりという観点から「七人の侍」、「王様のレストラン」「ワンピース」とかが登場する。というわけで内容が具体的な教えに満ちている。「グーグル」「アップル」「ディズニー」を抑えてアメリカの就職人気ナンバーワンはNPO団体だとこの本に出てくる。刺激的だ。
 天動説は科学的に誤っているが、長らく強固に信じられてきた。それが科学的に正しい地動説が信じられるようになっていったのは、どのような過程を経てなのか、を研究したという学者が西洋にはいるそうだ。彼がつきとめた事実というのがおもしろいし考え込まされる。
 

篠栗図書館新刊紹介№8「達人と読むビジネス名著」日本経済新聞社刊

ドラッカー攻略法
 経営学の父と称されるドラッカーという知の巨人がいる。ソニーの盛田昭夫など多くの信奉者を持つ。だが名著といわれる著作を読んでもピンとこないのはなぜか、という疑問がこの本を読んで氷解した。〈ちっとも理解できず途中で放り出した人は多い〉というくだりがあり、その理由は一言=〈ビジネスの経験が乏しいから〉であった。ドラッカーの著書はNPOのマネジメントの最上の教科書でもあるらしい。つまり町づくりとかに関わる人たちにとっても多くの指針を与えてくれる必読の書なのに、ビジネスの経験が乏しければ理解が困難なのだ。
 で、この本を読んで確信したのだが、ドラッカーの教えを理解するには、この手の本を読むことが近道だということである。わずか四十ページの中にドラッカーの神髄が詰まっている上にわかりやすい。こんなことを書くと原典を読まないなんて不埒なと青筋たてそうなドラッカー心酔者が身近にいるのだが。
 

篠栗図書館新刊紹介№7「人が集まるチラシ」坂田静香著

ハウツー本の見本
 チラシづくりを担当する人、チラシをつくって宣伝する計画がある人、世に出ているチラシに対して辛らつな批判・悪口をいいたい人等にとっては聖書的書物である。技術や知識を究めようとするとき、複数の書物を読んだ方が、通常はいいに決まっている。だがチラシに限ってはこの本一冊で事足りる。というか、その他の本を読んでこんがらがるより、そんな暇があるならこの本を繰り返し読んだほうがはるかにいい。
 著者には「人が集まる!行列ができる!講座、イベントの作り方」(講談社+α新書)という名著もある。この二つの書物は、異性のハートを射とめるといったときにも応用できる有効な教えに満ちている。正真正銘おすすめの本です。
 

篠栗図書館新刊紹介№6「私は負けない」村木厚子著

ホラー
 怖い本である。怖さは次の三点か。
①悪を懲らしめてくれるはずの検察が、善良な人を、それも日本という国のためになくてはならぬ人を、悪を懲らしめるために与えられた権力をフル活用して抹殺する顛末が語られているからだ。我々は誰を頼ればいいのか。
②厚労相のキャリア官僚が陥れられた事件である。この優れた女性官僚は、えん罪を跳ね返すための最良の条件を備えている人である。経済的にも頭の良さでも法律が仕事であることも厚労省がバックであることも。その彼女も偶然に見つけたフロッピーという決定的証拠がなかったらおそらく負けていただろう。となれば我々凡人はひとたまりもないわけだ。なんてたって検察官はとりわけ特捜検事は東大出のすごい頭脳と徹夜なんてヘイチャラの頑健さととんでもない悪人と丁々発止とやり合ってきた極めつけの交渉能力の持ち主なわけで。この本を読めばえん罪で捕まれば戦意喪失することは間違いないという怖さである。
③唯一強力な助っ人であるはずの新聞などのマスメディアはどうしたわけか検察側に味方するという恐怖である。
 この本を読むと、えん罪で捕まったら抵抗せずに検察の筋書き通りに自白するという選択肢を躊躇することなく選ぶだろう。問題の書である。しかしだからこそ多くの人に読んでもらいたいと思う。何より実態を知らねば変えることはできない。多くの人が悪を知れば知るほど改革の力は増すからである。
 

篠栗図書館新刊紹介№5「月刊新潮45」

新潮45 10月号
新潮45 10月号
内容充実の月刊総合誌
 世の中の政治的な立場の分け方として、左と右とに振り分けるというのが、よく使われる。二つを分ける目安というのは、少なくない人が「あいつは左」とか「あいつはごりごりの右翼だ」といっている割には、あんまりよくわかっていない。興味のある方は低価格で入手できる「右翼と左翼」(浅羽通明著・幻冬舎新書)をお読み下さい。
 雑誌にも右と左があるようだ。右っぽい人は金を出してまで左の立場に立つ雑誌を読もうとは思わない。逆もまた真なり。だけど雑誌の新聞広告なんかに読んでみたいと思わせる内容があったりする。そんなときに便利なのが篠栗図書館である。左の代表の「世界」を置いている。揺るぎなく右である「正論」もちゃんとある。中道よりも幾分か左側にいる私は決して買ってまで読むことはない「新潮45」を楽しめる篠栗図書館は実にありがたい。
 とまあ、半分斜に構えて読み出した新潮45なのだが、これがまた、おもしろくて唸りたくなるようなためになる論考が少なくとも五つはあって、「本当にもうけた」ということになった。
 日本が次期戦闘機として採用することに決めたF何とかという機種がとんでもない代物で、その点オーストラリアは自国の戦略的位置付けがよくわかっていて見事な選択をしていると看破する巻頭の文章なんか、ただただ感心することしきりであった。
 ゆるキャラ、B級グルメ、一発イベントの本当の使い方を教えてくれる観光をテーマにした対談なんかは、これだけでも二千円出してでも購入したいと思う。新潮45十月号でした。
 

篠栗図書館新刊紹介№「別れの挨拶」丸谷才一著

「挨拶原稿」の頂点
 昨年87歳でなくなった丸谷才一の、まさに晩年に書かれた書評やあいさつ原稿などを編んだ一冊である。老いてもなおその頭脳のさえと感受性のみずみずしさを文章の隅々にたたえた、かつ熟成した眼力の鋭さをも併せ持った文章が連なる本である。もちろん我々凡人にはついていけない高等な内容も少なからずあるが、そこは読み飛ばせばいい。ですます調とである調を混在してはダメというのは作文の初歩の初歩、しかし文の天才丸谷氏は自由自在にである調からですます調を行き来してため息をつきたくなるような文の高みを現出させる。あいさつ原稿の見事さはただただあきれ果てるばかりだ。
 

ホラー介護とは
 高齢者に関わる悲喜こもごも、喜怒哀楽を、人間愛に満ちた筆運びで活写する本です。にんまりしたり時に吹き出したり楽しみながら、年をとるにあたっての、あるいは若い人が年寄りをどう遇したらいいかを教えてくれるありがたいちょっと大きめの活字の二百ページです。
 愛情表現が乏しい夫に対して妻たちがいかに飽き飽きしているか。その延長がホラー介護へと向かうという怖い話もでてきます。(ホラー介護とは夫への長年の恨みを晴らす仕返し介護のこと、これを避ける方法もわかりやすく解説されています)。
 

日本国憲法を口語訳してみたら
 改憲派、護憲派、無関心層と日本国憲法に対しては様々な立場・考え方があろう。私なんか「我が孫を戦場にやるのだけは勘弁」だから護憲派ということになる。が、護憲派と名乗るには少々恥ずかしい。憲法全文を理解しながら読み通したことはないからだ。大学出に言わせれば「あんなにわかりやすい条文はない」なのだが、漫画で読む憲法とかいう本を買ってこれならわかるだろうと読み出しても意味不明の箇所が多く挫折してきた。
 期待半分あきらめ半分で読み始めたのがこの本だった。結論から言うと、これは戦後出版界の金字塔というほかない。勢いで日本国民必読の書だと言い出しかねない私なのである。日本国憲法のいいたいことがビンビン響いてきた。(A)
 

竹垣づくりのテクニック
 竹をいかに活用するか、篠栗町にとっても重要な課題ではなかろうか。邪魔物が宝になる。手っ取り早いのが竹垣づくりだと思う。篠栗図書館には竹垣づくりのハウツー本である「プロに学ぶ竹垣づくり」という本を備えている。発行が古くなっており在庫はないだろう、アマゾンは敷居が高いしとあきらめていた。竹垣づくりに必要な知識や技術のほぼ全てが埋まっている新刊がでた。購入に値する内容だと確信した。
 
9月29日
9月29日